【専門コンサルが分析】ものづくり補助金 20次公募の採択結果から見えた傾向と次回対策

ものづくり補助金20次公募の採択率は 33.6% でした。

19次公募とほぼ同じ水準ですが、都道府県ごとの採択率には前回からの変化もみられます。

本記事では、当社の採択事例や複数の支援機関様から得た情報をもとに、20次公募の特徴や傾向を整理しました。

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この記事を読めばわかること
  • ものづくり補助金20次公募の採択率と、直近5回(16〜20次)の採択率推移
  • 都道府県別の採択率と、地域ごとの変化
  • 認定支援機関の使用率と採択状況
  • 申請数が減少した背景(19次との比較)
  • 今後の申請数が過去水準に近づき、採択率も30%前後で推移すると予想

本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。

テスト
目次

「ものづくり補助金」直近5回の採択率を比較(16次〜20次)

次(採択発表日)採択率採択数申請数
16(R6/1/19)48.8%2,7385,608
17(R6/5/20)29.4%185629
18(R6/6/25)35.8%2,0705,777
19(R7/7/28)31.8%1,6985,336
20(R7/10/27)33.6%8252,453
※参照元:採択結果(ものづくり補助金総合サイト)

20次の採択率は、19次公募と横ばいでした。

申請数は1年ぶりの公募であった19次と比べると減少。

ものづくり補助金20次公募の都道府県別採択率とエリア別傾向

東京都の採択率は27%(19次は31%)。

採択率トップ3

  1. 72%:香川県
  2. 59%:山口県
  3. 58%:愛媛県
  4. 57%:青森県
  5. 55%:熊本県
  6. 54%:大分県

採択率ワースト3

  1. 0%:鳥取件
  2. 10%:山形県
  3. 19%:大阪府
  4. 20%:長崎県
  5. 22%:岩手県

19次では全体的に採択率が低かった関西地方ですが、20次では多くの府県で採択率が増加傾向にあります。

ただし、大阪府は19%と、前回同様に20%を下回っており、全国的に見ても依然として低い水準にとどまっています。

府県19次20次
滋賀県30%30%
京都府26%35%
大阪府13%19%
兵庫県20%37%
奈良県45%45%
和歌山県21%27%

全体に言えることですが、都道府県によって採択率は大きく異なりますが傾向までは捉えられません。

あくまでも事業者ごとの計画の内容で採択が決まっているでしょうが、ここ2回の公募をみると都道府県によって採択率の高低に傾向はあると考えます。

19.20次公募ともに採択率が低かった都道府県

都道府県19次20次
大阪府13%19%
長崎県17%20%
岩手県18%22%
和歌山県21%27%

ものづくり補助金20次公募 採択者の認定支援機関使用率

採択者の認定支援機関使用率は約60%(19次公募は64.8%)

19次よりも若干低下しておりますが、半数以上の採択者が認定支援機関を利用していることを考えるとやはり認定支援機関を利用することの重要性はかわらないでしょう。

ものづくり補助金20次公募 採択事例の傾向

19次公募と同様と考えています。

  • 本年度よりものづくり補助金は「新サービス」の提案を重視
  • 採択されやすい導入機器も上記トレンドに準拠

弊社採択事例の傾向となります。

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本年度よりものづくり補助金は「新サービス」の提案を重視

事業者が既に提供しているサービスの発展が目的ではなく、従来のサービスとは異なる新サービスのための導入が補助金支給の対象となりました。

採択されやすい導入機器も上記トレンドに準拠

汎用性の高い機器や既に使用している機器の最新型等ではなく、従来その事業者が使用していない機器の導入が良いと考えます。

新サービス提供のため一貫性のある機器導入が重要。

今後、ものづくり補助金の採択率向上に効果的だと考える要素2つ

今後、ものづくり補助金の採択率向上に効果的な要素についても19次公募と同様と考えています。

弊社の事例から考えています。

※金融機関の借り入れはネガティブな影響はないと考えます。

賃上げ要件

賃上げ要件は必須ではありませんが、実際に加点ありの事業の方が採択率が高くなっています。

加点項目を積極的に活用することも、採択率を高めるための重要な戦略であると言えるでしょう。

導入機器が2個以下

一見、「導入機器が多い方が事業規模が大きく、評価されそう」と考えがちですが、審査では「事業目的と整合しているか」「投資効果が明確か」が重視されます。

機器が多い=分散していて焦点がぼやける、もしくは「本当に必要なのか?」と疑念を持たれる可能性があります。

そのため、導入機器は「必要最小限」に絞り込み、各機器がどのように事業課題を解決し、生産性向上に直結するのかを明確に示すことが、採択率を高める上で非常に効果的です。

導入機器が多くてもシナジーが強ければ採択確率は高いと考えます。

まとめ

ものづくり補助金20次公募の採択率は33.6%と、19次とほぼ同水準でした。

エリアごとの差は大きいものの、「なぜその地域が高い、低いのか」という明確な理由までは読み取れません。

ただし、大阪・長崎・岩手など、19次・20次の両方で採択率が低い地域があることも事実で、一定の傾向として注視すべきでしょう。

とはいえ、最終的な採択の可否は、あくまでも事業者ごとの事業計画の内容に左右されると考えられます。

今後の申請数は過去水準(約3,000件前後)に戻る見込みで、採択率は30%前後で推移する状況が続くと予想しています。

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この記事を書いた人

補助金申請支援を専門とする会社にて勤務。
ものづくり補助金や事業再構築補助金において、交付申請・実績報告・事業化状況報告など、採択後の手続きを中心に多数の企業支援を担当。

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