ものづくり補助金は何回まで申請できる?採択・不採択別の回数制限と再申請の可否を徹底解説
「ものづくり補助金は、何回まで申請できるのか?」
このテーマは実務支援の現場でも、もっとも誤解が多い領域です。
実際の検索意図には、
- 採択されたあとも申請できるのか
- 落ちた場合は何回まで挑戦できるのか
- 採択履歴は審査に影響するのか
など複数の意味が含まれますが、古いネット記事のまま判断している企業が非常に多いです。
この記事では、最新の公募要領と実務経験をもとに、回数制限の正しい考え方・ケース別の可否・再申請すべきタイミングを整理します。
- ものづくり補助金は何回まで申請できるのかという結論
- 不採択・採択それぞれの場合の回数制限の考え方
- 16か月ルールの正しい理解
- 再申請が可能かどうかを判断するための実務的な視点
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
ものづくり補助金は何回まで申請できる?(結論)
不採択であっても、原則として再申請は可能です。
ただし、事業計画の重複と判断された場合など、内容によっては次回以降の申請が制限されるケースがあります。
一方で、採択(=交付決定)された場合は、回数制限や期間制限が明確に設けられています。
検索でよく見かける
「一度落ちたらもう出せない」
「一度採択されたら二度と申請できない」
といった情報は、現在の制度とは合っていないケースが多いため注意が必要。
ここでは、最新の公募要領と実務での扱いを前提に、回数制限の考え方を整理します。
不採択の場合は「基本的に何回でも」再申請可能(ただし一部例外あり)
不採択となった場合、申請回数そのものに上限はありません。
同じ事業内容でも、内容を修正したうえで再申請することが可能です。
ただし注意点として、
- 同一内容をほぼ修正せずに出し続ける
- 指摘された弱点(市場性・数値根拠など)を改善していない
こうした場合は、実務上「評価が上がりにくい」傾向があります。
制度上は申請可能でも、再申請するなら計画の見直しは必須というのが現実です。
採択(=交付決定)実績が過去3年で2回ある場合は申請不可
ものづくり補助金には、採択回数に関する明確な制限があります。
原則として、
- 過去3年間に「ものづくり補助金」で
- 2回の採択(交付決定)を受けている場合
その期間中は、新たに申請することはできません。
ここで重要なのは、「申請回数」ではなく「採択回数」でカウントされる点です。
不採択は回数制限に含まれません。
「採択直後は出せない」は誤解—応募可否は“16か月ルール”で決まる
「一度採択されたら、しばらく申請できない」と言われることがありますが、この表現はやや不正確です。
実際には、
- 「採択直後は出せない」は誤解
- 応募可否は“16か月ルール”で決まる
- 採択直後でも再申請は可能
- 判断基準は“16か月ルール”
質問:過去にものづくり補助金に採択された事業者は本事業の対象になりますか。
・申請締切日を起点にして、16か月以内にものづくり補助金に採択された事業者
質問:他の補助金・助成金と併願することは可能ですか?
併願することは可能です。但し、本補助金の申請締切日を起点として16か月以内に、新事業進出補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金のいずれかの補助金の交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、または、申請締切日時点において新事業進出補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金のいずれかの補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者については補助対象外としているため、複数の補助金に採択された場合は、交付を受ける補助金を1つだけ選択して交付申請を行ってください。
つまり、
- 採択されたから即NGなのではなく
- 交付決定日からの経過期間が判断基準
となります。
この点を誤解したまま申請時期を判断している企業は非常に多いため、注意が必要です。
ケース別:申請できる/できないの判断早見表
見出しにする必要ない
実務では、次のように整理すると判断しやすくなります。
- 過去採択0回:採択履歴による制限はなし(他補助金の16か月ルール等は別途考慮)
- 過去採択1回:原則申請可能
※ただし、16か月以内は不可/審査上は若干不利になるケースあり - 過去3年で2回採択:申請不可
- 補助事業実施中に新規申請する場合:事業の重複・実施状況によっては制限を受ける可能性あり
「何回まで」という疑問は、採択回数・経過期間・事業実施状況をセットで判断する必要があります。
複数回申請は審査に影響するのか(実務的な視点)
複数回申請した事実そのものが、直ちにマイナス評価になるわけではありません。
ただし実務では、
- 前回申請からの改善点が見えない
- 同じテーマを形だけ変えている
- 数値や市場性が弱いまま
こうしたケースでは、評価が伸びにくい傾向があります。
再申請する場合は、
「なぜ前回は採択されなかったのか」
「今回はどこをどう改善したのか」
を、申請書上で明確に示すことが重要です。
まとめ:ものづくり補助金は“何回まで”申請できる?
ものづくり補助金の申請回数は、「何回まで」という単純な数字では判断できません。
重要なのは、
- 不採択は原則何度でも申請可能
- 採択は「過去3年2回まで」という上限がある
- 応募可否は16か月ルールで決まる
- 再申請するなら内容改善が前提
という点です。
回数だけで判断せず、採択履歴と申請タイミングを正しく整理したうえで判断することが、無駄な申請や機会損失を防ぐポイントになります。
