省力化投資補助金(一般型)応募申請・交付申請の必要書類まとめ|書類不備のケースも紹介
「省力化投資補助金」に関わる応募申請と交付申請は別物です。
採択後に交付申請という手続きを経て、省力化投資補助金の交付が決定。
これらの手続きをスムーズに進めるためには、事前に準備する応募申請の書類、採択後に必要となる交付申請の書類を漏れなく整えておく必要があります。
- 応募申請:公募要領に記載された期間内に必要書類を揃え、jGrants(電子申請システム)から申請する
- 採択発表:応募申請締切後、約1〜2か月で採択結果が公表される。
- 交付申請期間:採択決定通知が届いた後、定められた交付申請期間内(通常は採択発表から30〜45日程度)に交付申請を行う。
- 交付決定:交付申請が受理され・審査を通過すると、交付決定通知が発行される
- 事業実施期間:交付決定後に購入・導入作業や支払いなどの事業を実施する。
書類が不足していたり、記載内容に不備があったりした場合、補助金の交付が遅れたり、場合によっては「不交付」となったりする可能性があるため注意が必要です。
本記事では、応募申請や交付申請で必要となる書類をわかりやすく紹介いたします。
- 省力化補助金の
- 応募申請に必要な書類
- 交付申請に必要な書類
- 応募申請・交付申請に必要な書類で用意に時間がかかるもの
- 実際に多い書類不備のケース
本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。
省力化投資補助金 「応募申請」の必要書類一覧
省力化投資補助金の応募申請をする場合、事前に用意しておくべき基本書類や、手元で作成が必要な申請用書類があります。
指定様式と書かれている書類は、指示に則って指定通りに作成し、参考様式と書かれている書類は、公式サイトの参考書類を確認の上、準備・作成を進めましょう。
応募申請時に必要になるのは、以下の書類です。
全事業者共通
- 損益計算書 直近2期分(製造原価報告書、販売費及び一般管理 費明細、個別注記表を含む。個人事業主で青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は所得税白色申告収支内訳書を含む。)
- 貸借対照表 直近2期分
- 【参考様式】事業計画書(その1・その2)
- 【指定様式】事業計画書(その3)
必要に応じて用意する書類
法人の場合 | ・履歴事項全部証明書(発行から3か月以内のもの) ・納税証明書(その2)直近3期分 ・法人事業概況説明書 ・【指定様式】役員名簿 ・【指定様式】株主・出資者名簿 |
個人の場合 | ・確定申告書の控え(第一表) ・納税証明書(その2)直近1年分 ・所得税青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書 |
事業実施場所が複数の場合 | 【指定様式】事業実施場所リスト |
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を適用する場合 | 【指定様式】最低賃金引き上げに係る要件確認書 |
他の助成制度を過去に利用したまたは利用している場合 | 共通 【指定様式】他の助成制度の利用実績確認書 |
金融機関から借り入れを受ける場合 | 【指定様式】金融機関確認書 |
事業承継又はM&Aを実施した事業者に対する加点 | 事業承継又はM&Aを実施したことがわかる確認資料 |
任意書類 | 導入予定の機器装置についてのカタログや説明資料 |
省力化投資補助金「交付申請」の必要書類一覧
省力化投資補助金の交付申請にも、事前に用意しておくべき基本書類、手元で作成が必要な申請用書類があります。
書き方のルールを確認しながら、できるだけ早めに書類の準備を進めましょう。
交付申請時に必要になるのは、以下の書類です。
全事業者共通
- 【参考様式】見積依頼書(全経費分)
- 【参考様式】見積書(全経費分最低2者分)
- 業者選定理由書(該当者のみ)
- システム構築費の詳細
- 【指定様式】賃金引き上げ計画の表明書
- 研修動画の修了証
必要に応じて用意する書類
特定非営利活動法人(NPO法人)の場合 | 経営力向上計画の認定書 |
再生事業者の場合 | 【指定様式】再生事業者の確認書類 |
補助事業の実施場所が自社の所有地でない事業者の場合 | 不動産登記事項証明書、賃貸借契約書等 |
応募申請時から変更があった事業者の場合 | 履歴事項全部証明書 |
ほか | ・【参考様式】指導契約書 ・【参考様式】専門家業務報告書 ・【参考様式】専門家就任承諾書 ・【参考様式】宿泊証明書 ・【参考様式】旅費明細書(領収書) |
取得や発行までに時間がかかる書類
「応募申請」や「交付申請」の準備を進める際、取得方法が煩雑な書類や発行までに時間がかかる書類、間違いなく作成するのが難しい書類などが出てきます。
必要になる書類の種類が多いこともあり、社内担当者で手分けして準備をする、時間のかかる書類を把握し、早めに動き出すといった配慮が必要です。
自社で準備が難しい部分がある場合、補助金申請の詳しい専門家や支援業者に相談をすると、補助金申請になれたプロによる支援を受けられます。
以下に、応募申請時・交付申請時別に用意に時間がかかる書類を記載しています。
応募申請時
書類 | 主な理由 |
---|---|
決算書・貸借対照表 | 会計書類の準備やフォーマット確認などの作業が煩雑なため、準備に時間がかかりやすい |
履歴事項全部証明書 | 役所へ出向いて取得する必要があります。発行から3か月以内の書類が必要なため、早すぎる取得もNG |
納税証明書(直近3期分) | 税務署の窓口もしくは郵送で、準備を進めます。証明書発行までに時間がかかるケースも多く、早めの手続きが求められる |
指定様式の役員名簿・株主名簿 | 指定様式のダウンロード、記入が必要です。自社の名簿をそのまま使用できないため、作成に手間がかかる |
※事業計画書は厳密には添付書類ではなく申請様式本体ですが、準備に時間がかかるため、実務上は早めの作成が必要です
交付申請時
書類 | 主な理由 |
---|---|
決算書・貸借対照表 | 会計書類の準備やフォーマット確認などの作業が煩雑なため、準備に時間がかかりやすい |
見積書・相見積書 | 必ず見積書は必要になるうえ、50万円以上の経費は2者以上の見積取得が必須なため |
見積書|相見積もり
1者以上の見積書を取得してください。また、契約(発注)先1者あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の経費については、価格の妥当性を証明できるよう原則、同一条件による2者以上の見積書を取得し、最低価格を提示した者を選定してください。交付申請では2者の見積書を提出していただきます。
※引用元:1-6|見積書の取得 2025年6月27日 版 2025年8月1日 改訂 中小企業省力化投資補助事業(一般型)
実際に多い書類不備のケース
補助金申請書類に見られる、不備の多いケースについて紹介します。
事前に書類不備のケースを知っておくことで、自社の申請時にはより注意を払いながら準備を進めることができるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
交付申請の提出期限が過ぎてしまった
「交付申請」は、採択決定日から2ヶ月以内に交付申請を行う必要があります。
相談の連絡もせず、期限を過ぎてしまうと採択が取り消される可能性があるため注意が必要です。
事前にスケジュールを確認の上、余裕を持って手続きを進めてください。
交付申請は、採択決定日から2か月以内に交付申請を行ってください。特段の事情により間に合わない可能性がある場合には、あらかじめ事務局にご相談ください。(連絡が無い場合には、採択を取り消す可能性があります。)
※引用元:1-3 | 事業概要 2025年6月27日 版 2025年8月1日 改訂 中小企業省力化投資補助事業(一般型)
書類の内容に間違いがある
提出する書類の数値や内容は、事実に則った正しい記載が必要です。
事業計画書や見積書の金額や記載に間違いがある場合、審査結果に影響する可能性があります。
添付書類の抜け・漏れ
「交付申請」に必要な添付書類が不足している場合、再提出になり、交付が遅れる可能性があります。
申請要領に記載されている添付書類を事前にしっかり確認してから提出しましょう。
電子申請のファイル形式間違い
電子申請を行う場合、提出するファイルの形式に決まりがあります。
PDF形式が求められているのに、ExcelやWordで提出してしまった、というような場合、再提出が必要になるため、事前に形式をたしかめておくと安心です。
提出方法の間違い
電子申請システム(jGrants)経由で提出するべき書類を郵送してしまった、添付し忘れたからメールで送った、事由がある場合、審査に影響を与えてしまいます。
必要書類を正確に準備し、スムーズな応募申請・交付申請を実現しましょう
応募申請と交付申請の両方に共通して、正確な書類の準備は省力化投資補助金(一般型)の必須条件です。
とはいえ、こうした注意点は省力化投資補助金に限らず、補助金申請全般に当てはまります。
「交付申請」はとくに書類不備が起きやすいため、事前確認や担当者のチェック体制などの整備が必要です。
自社では間に合わない部分、書類の作成がなかなか進まない部分は、専門家の力も借りながら、1回でスムーズに補助金交付を受けられるように、準備を整えてスムーズな申請を実現しましょう。