ものづくり補助金のコンサル費用の相場と注意点|安すぎるサービスの落とし穴とは
ものづくり補助金を検討する際、「コンサル費用がどのくらいかかるのか」「金額にどんな違いがあるのか」
といった点で迷う企業は少なくありません。
報酬体系は定額制・成果報酬制など複数あり、支援範囲によって費用が大きく変わるため、相場だけでは判断しづらい領域です。
この記事では、費用を比較するうえで押さえておきたい
- コンサル費用がどのように決まるのか
- 依頼前に必ず確認すべき点は何か
を整理しています。
- ものづくり補助金のコンサル費用が決まる仕組み
- 定額制・成果報酬制それぞれの特徴と注意点
- 安すぎるサービス・成果報酬型の落とし穴
- 費用トラブルを防ぐために確認すべきポイント
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
ものづくり補助金のコンサル費用の相場
参考程度にご覧ください。
定額制コンサルの相場帯(20万円~)
| 会社名 | サポート内容 | 金額 |
|---|---|---|
| G1行政書士法人 | ものづくり補助金申請書(事業計画書)作成 | ・20万円成功報酬なし ・加点対応は別料金 |
| 株式会社サクモフ | 事業計画書のアドバイ(1時間×3回)、手続きの全般の支援 | ・35万円 ・成功報酬なし |
成果報酬型の相場帯(採択時10%~)
| 会社名 | サポート内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 増田考邦税理士事務所 | 事業計画書作成、交付申請 | ・成功報酬:受給額の10%(最低75万円) |
| 株式会社ForYou | 事業計画書作成、交付申請、実績報告 | ・成功報酬:採択補助金額の16.5% |
ものづくり補助金のコンサル費用はどう決まる?(結論)
ものづくり補助金のコンサル費用は、「相場いくらか」という一言では判断できません。
なぜなら、費用は金額そのものではなく「どこまで支援するか」によって決まるからです。
申請書作成だけを支援する会社もあれば、採択後の交付申請・実績報告まで含めて対応する会社もあります。
この支援範囲の違いが、費用の差として表れます。
「安いか高いか」ではなく、その費用で何をしてもらえるのかを理解することが、後悔しない依頼先選びの出発点になります。
費用は「支援範囲」で決まる
コンサル費用に最も影響するのは、支援範囲です。
- 申請書作成のみ
- 事業計画の整理・ブラッシュアップまで含む
- 採択後の交付申請・実績報告まで対応
支援範囲が広がるほど、必要な工数・専門知識・責任も増えるため、費用が高くなるのは自然なことです。
「申請書だけ作ってほしい」のか、「採択後も含めて任せたい」のかで、適正な費用水準は大きく変わります。
定額制と成果報酬制の違い
コンサル費用の体系は、主に定額制と成果報酬制に分かれます。
定額制は、費用が事前に確定しているため、予算管理がしやすい点がメリット。
一方、成果報酬制は、「採択されなければ支払わなくてよい」という安心感がありますが、採択時の支払額が高額になりやすい点には注意が必要です。
相場が不透明に見える理由
コンサル費用の相場が分かりにくいのは、支援内容がサービスごとに異なるためです。
金額だけを比較すると、安く見えるサービスでも、実際には支援範囲が非常に限定的なケースがあります。
そのため、「いくらか」よりも、「何をしてくれるのか」を基準に見る必要があります。
コンサル費用の落とし穴
コンサル費用で後悔するケースには、共通するパターンがあります。
成果報酬型
成果報酬型は一見すると魅力的ですが、実務上の落とし穴も少なくありません。
採択された場合、報酬額が想定以上に高額になるケースがあります。
また、申請書作成のみで、採択後の実務支援が含まれていないこともあります。
契約内容を確認せずに依頼すると、「採択されたが、その後は自社対応」という状況になりがちです。
安すぎるサービス
極端に安いサービスにも注意が必要です。
- ヒアリングが浅く、内容が薄い
- 申請書がテンプレート的になりやすい
- 採択後のサポートがほとんどない
結果として、採択率が下がったり、採択後に追加費用が発生するケースもあります。
費用判断で最も重要なのは“支援範囲の明確さ”
コンサル費用を判断する際、最も重要なのは支援範囲が明確かどうかです。
また申請時は、採択されるか否かが不明なため、たいていは交付申請と実績報告の契約は別契約となるケースが多いでしょう。
申請作成だけor採択後(交付申請〜実績報告)まで含まれるか
採択後の交付申請・実績報告は、申請時以上に手間がかかります。
この工程が支援範囲に含まれているかどうかで、企業側の負担は大きく変わります。
追加費用の条件はどうなっているか
当初の契約額とは別に、後から追加費用が発生する条件があるかどうかも重要です。
「どこまでが基本料金か」を事前に確認しておく必要があります。
申請内容の品質にどこまで踏み込むか
単なる文章作成なのか、事業内容の整理・数値設計まで踏み込むのかで、申請書の完成度は大きく変わります。
費用トラブルを防ぐために契約前に必ず確認すべき項目
費用トラブルを防ぐには、契約前の確認が欠かせません。
- 報酬体系(定額/成果報酬)
- 申請後の工程まで含まれているかを必ず確認します。
- 支援範囲(申請〜実績報告のどこまで?)
- 「想定外の作業」とされる範囲を事前に把握します。
- 採択後のサポート有無
- 採択後の実務支援があるかどうかは重要な判断材料です。
- 支援実績・担当者の専門領域
- 自社の業種・事業内容に近い実績があるかを確認します。
まとめ:コンサル費用の“正しい選び方”は1つだけ
ものづくり補助金のコンサル費用は、高いか安いかでは判断できません。
見るべきポイントはただ一つ、支援範囲が明確で、実務まで対応してくれるかどうかです。
費用だけで判断せず、支援内容・契約条件・実績を整理したうえで選ぶことで、後悔のない依頼先選びにつながります。
