ものづくり補助金の不採択理由とは?5つの要因と見直しポイント
ものづくり補助金は、申請件数が多く競争率も高いため、「なぜ不採択になるのか?」を正しく理解しておくことが申請成功の大きなポイントになります。
多くの企業が落ちる理由は、要件との不一致や設備投資の妥当性不足、効果の数字が弱いといった共通のパターンに分類できると考えております。
これらを事前に押さえておくだけで、申請前の時点で改善すべきポイントが明確になり、採択される可能性を高めることができます。
本記事では、ものづくり補助金の一般的な不採択理由をカテゴリ別に整理し、どの企業でも今日から見直せる実践的な観点で解説。
これから申請する方にも、再挑戦を検討している方にも役立つ内容です。
- ものづくり補助金で不採択につながる5つの要因
- 次回採択につなげるためのポイント
本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。
ものづくり補助金の不採択理由は大きく5カテゴリに分類できる
- 要件との不一致
- 設備投資の妥当性
- 効果(数値根拠)
- 計画書構成
- 市場性・実現可能性
ものづくり補助金の不採択理由は複雑に見えますが、多くは共通するパターンに分類できます。
要件との不一致
- 「補助目的と事業内容」がズレている
- 新規性や革新性の言い換えで無理をしてしまう
など
ものづくり補助金では、補助目的と申請内容が一致していない場合に不採択となるケースがよくみられます。
ものづくり補助金の目的は「中小企業の生産性向上」であり、そのために革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓に資する設備投資を支援する制度です。
そのため、事業計画では目的の位置づけと課題の構造を明確にし、設備導入がどのように生産性向上へつながるかを一貫して説明する必要があります。
ここが弱いと、それ以外の説明がどれだけ整っていても評価点が伸びにくくなります。
設備投資の妥当性が説明できていない
- 設備の選定理由が不明確
- 設備と事業目的のストーリーが繋がっていない
- 台数・金額の理由が弱く「過剰投資」
など
設備投資の妥当性は審査における非常に重要な要素です。
どれだけ立派な機械であっても、なぜその設備かを説明できなければ評価されません。
多くの不採択理由は、設備選定の理由が弱い、事業目的とのストーリーがつながっていない、台数や金額の根拠が希薄といった点に集約されます。
設備投資が目的に対して適切であることを、数字を用いて説明できるかが採否を左右します。
効果・収益の根拠が弱い
- 生産性向上の計算根拠が曖昧
- 効果検証方法(KPI)が設定されていない
- 投資回収シミュレーションが甘い
など
効果の根拠が曖昧な場合、不採択につながる可能性が高まります。
生産性向上、売上向上、利益改善といった成果を数字で説明できるかが重要です。
曖昧なシミュレーションや、効果検証の方法がない申請は説得力を欠きます。
事業計画書の構成・説明不足
- 論理の飛びや説明不足で読みづらい
- 図表が少なく説得力が出ない
- 専門用語まみれで審査員に伝わらない
など
これらはいずれも、計画書の「読みやすさ」と「伝わりやすさ」を損なう要因です。
構成に一貫性がなく、説明が不足している計画書は評価が低くなりやすく、読みづらさや論理の飛びはそのまま大きな減点につながります。
図表の活用や平易な言葉への置き換えなど、審査員の理解を助ける工夫が不可欠です。
市場性・実現可能性の説明が不十分
- 顧客・市場の分析が浅い
- 競合優位性が曖昧
- 実行体制(人員・スケジュール)が弱い
など
これらはいずれも、計画の「妥当性」と「実現性」を示すために欠かせないポイントです。
市場規模や顧客ニーズを定量的に示し、競合との差別化を論理的に説明し、さらに実行できる体制を具体的に示すことで、計画全体の説得力が大きく高まります。
不採択理由を事前に押さえることで、採択率は大きく上がりやすくなる
不採択理由を知ることは落ちた後の反省ではなく、落ちないための事前準備としても重要です。
要件との一致、設備投資の妥当性、効果の数字、計画書の読みやすさなど、一般的な不採択要因をあらかじめ押さえておけば、申請前の時点で改善すべきポイントが明確になります。
業種に適した支援会社のチェックを含め、早めに対策を進めることで、次回の公募で採択される可能性を大きく高めることができます。
また、はじめての申請の場合も考えられる不採択理由をあらかじめ知っておくことで対策が可能でしょう。
