ものづくり補助金が落ちた後の選択肢|不採択後に取るべき4つの判断と再挑戦のポイント
ものづくり補助金は応募数が多く、毎回一定数の企業が不採択となります。
落ちた場合でも、それは決して「自社が劣っているから」でも、「この先もう挑戦できない」という意味でもありません。
制度の仕組み上、ものづくり補助金は公募ごとに審査が行われるため、不採択になっても申請資格は継続しますし、次の公募回で改めて挑戦することも可能です。
ただし、選択肢は再挑戦だけではありません。
投資内容によっては他の補助金の方が合っているケースや、補助金を使わずに計画を再構築した方がメリットの大きい場合もあります。
本記事では、「落ちたあとに何ができるのか?」を中立的な視点で整理し、自社にとって最適な次の一手を判断するための材料をご紹介します。
- 不採択でも申請資格が継続する理由
- 再申請の正しい意味と注意点
- 不採択後に取れる4つの選択肢
- 次の一手を判断するための考え方
本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。
ものづくり補助金は落ちてもそこで終わりではない
ものづくり補助金は、一度落ちたとしてもそこで終わる制度ではありません。
制度の特性を理解することで、不採択後の選択肢が広がり、むしろ事業を進めるうえでの方向性を整理しやすくなります。
不採択は制度上よくあることで、珍しくない
ものづくり補助金の不採択は「よくあること」であり、企業の能力不足を示すものではありません。
制度全体として応募数が多いため、優れた申請書でも他社との比較で落ちることがあります。
「落ちた=失敗」という捉え方は誤解であり、冷静に次の一手を考えることが重要です。

不採択でも申請資格は継続する(次回以降も申請可能)
ものづくり補助金は、不採択になったからといって申請資格を失うわけではありません。
不採択でも再度申請することは可能ですが、過去の採択状況によっては申請できない期間が生じる場合があります(例:過去3年間で2回採択された場合は申請不可)。
※参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第 22 次公募)
再申請は選択肢のひとつとして持っておくべき判断材料です。
落ちた後に取れる4つの選択肢を整理する
不採択後に進められる道は一つではありません。
ここでは再挑戦に限らず、その他の方法も含めた4つの選択肢を整理し、自社の状況に合わせて判断できるように解説します。
選択肢①|次の公募で再挑戦する
制度上、再申請は可能ですが、過去の採択状況によって一定期間申請できない場合があります。
再挑戦は一般的な選択肢であり、多くの企業が改善を加えながら再度チャレンジしています。
ただし、再申請では前回の内容をそのまま出すのではなく、改善が前提となります。
選択肢②|他の補助金(省力化投資・成長加速化補助金など)を検討する
設備投資の内容によっては、ものづくり補助金より他の補助金の方が適しているケースもあります。
たとえば、省力化投資補助金は自動化・省人化に重点があり、設備内容によっては採択率が高くなる可能性があります。
成長加速化補助金なども含め、制度の狙いが異なるため、より自社に合う制度を検討することで採択可能性を高められます。
選択肢③|支援会社の見直し・新規相談
申請を自社だけで行った企業は、支援会社や専門家に相談するという選択肢があります。
逆に、すでに支援会社へ依頼していた場合は、その会社との相性や改善力を見直す機会にもなります。
支援会社が変わることで、改善ポイントの指摘内容が変わり、結果が大きく改善するケースも少なくありません。
「誰と取り組むか」は採択率に直結しやすいため、落ちたタイミングで一度見直す価値があります。
選択肢④|補助金を使わずに投資計画を再構築する
設備投資の緊急性が高い場合、補助金に依存しない判断も有効です。
補助金を待つことで事業機会を逃すリスクや、導入時期が遅れるコストも考慮する必要があります。
また、予算縮小や段階的な導入など、補助金を使わずに進めるメリットが大きい場合もあります。
「補助金ありきで考えない」視点を持つことで、より柔軟な事業判断が可能になります。
落ちた瞬間こそ、最適な進む道を整理できるタイミング
ものづくり補助金の不採択は、事業計画を諦める理由にはなりません。
落ちた直後こそ、今後の進め方を冷静に整理できる大切なタイミングです。
次の公募で再挑戦するのか、他の補助金を検討するのか、あるいは補助金を使わずに投資計画を見直すのか選べる道は複数あります。
どの選択肢が最適かは、設備投資の目的、事業の優先度、スケジュール、資金計画によって変わります。
まずは提出した申請内容を確認し、自社の状況と照らし合わせながら、もっともリスクの少ない道を選ぶことが重要です。
落ちたことを終わりではなく、選択肢を広げるきっかけと捉え、次の一歩を検討していきましょう。
