ものづくり補助金の新製品採択事例を徹底解説|公表事例から読み解く採択傾向と成功ポイント

ものづくり補助金の「新製品」案件は、採択数が多い一方で、公表されている情報が簡易的で“採択されるレベル感”が分かりづらい領域です。

この記事では、19〜21次公募で公表された採択事例をもとに、どのような新製品が採択されているのか、その傾向と理由を整理しています。

自社の新製品開発が採択レベルに達しているかを判断する材料として活用してください。

この記事を読めばわかること
  • ものづくり補助金における新製品採択事例の傾向
  • 新製品開発で評価されやすいポイント
  • 設備導入と新製品開発の関係性
  • 自社の新製品計画が採択レベルか判断する視点

本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。

テスト
目次

【2025年】ものづくり補助金の「新製品」採択事例(19〜21次)

19〜21次公募で公表された採択事例の内容をもとに、新製品開発として評価されやすいと考えられる取り組みの傾向を整理します。

19次

事例①CNC旋盤とマシニングセンタの導入とインペラ加工の新商品開発

事業者名有限会社リファクトリー株式会社Arsales
所在地東京都大田千代田区
会社HPhttps://refactory.co.jp/

樹脂・プラスチック部品の精密切削加工を手がける製造企業。

「ものづくり補助金」を活用し、CNC旋盤・マシニングセンタ導入による高度加工技術の強化と新商品開発に挑戦します。

事例②独自ブランド「Mint Lab」の持続冷感肌着の開発

事業者名株式会社TWIST
所在地東京都品川区
会社HPhttps://twist.surf/

オリジナルブランドや企画物の製品開発などを手がける企業。

「ものづくり補助金」を活用し、独自ブランド「Mint Lab」シリーズの持続冷感肌着の開発と商品化体制の強化に挑戦します。

③オリジナルスパイスを使用した新商品開発及び生産性向上計画

事業者名有限会社冨永精肉店
所在地東京都世田谷区
会社HPhttps://tominagaorginal.com/

厳選した国産和牛やオリジナルスパイス商品を取り扱う精肉卸・小売企業。

「ものづくり補助金」を活用し、オリジナルスパイスを用いた新商品開発と生産性向上のための設備整備に挑戦します。

※参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第19次締切採択案件一覧

20次

事例①日本品質と独自デザインで拓く新世代腕時計プロジェクト

事業者名株式会社トキテック
所在地東京都足立区
会社HPhttps://tokitec.co.jp/index

オリジナル腕時計・完成時計の企画・設計・製造を手がける時計製造会社。

「ものづくり補助金」を活用し、オリジナル時計の新製品開発および製造・量産体制強化に挑戦します。

事例②革新的な構造とデザインで高齢者の食生活を豊かにする食器の開発

事業者名Allfor1株式会社
所在地東京都千代田区
会社HPhttps://www.allfor1.tokyo/about.html

日常生活を支える生活用品・支援ツールの開発と提供を手がけるメーカー兼サービス企業。

「ものづくり補助金」を活用し、高齢者の生活を豊かにする実用性の高い食器などの新製品開発と提供体制の強化に挑戦します。

事例③高精度生体センサーを軸とした熱中症予防ウェアラブル端末の開発

事業者名伸和プリント工業株式会社
所在地東京都千代田区
会社HPhttps://www.shinwa-print-ind.co.jp/

高機能プリント配線基板の設計・製造・実装を一貫対応する電子部品加工メーカー。

「ものづくり補助金」を活用し、高精度生体センサー向け熱中症予防ウェアラブル端末用基板の開発と量産体制強化に挑戦します。

※参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第20次締切採択案件一覧

21次

事例から読み取れる「新製品開発」の採択傾向

公表事例を整理すると、新製品開発で評価されやすいポイントは明確です。

技術的課題が明確で、解決プロセスが具体的

採択事例では、

「何が技術的な課題なのか」
「なぜ既存設備・方法では解決できないのか」

が論理的に整理されています。

課題 → 解決手段 → 導入設備の関係が一貫していることが重要です。

試作・実証データなど“裏付け”がある計画が強い

単なる構想段階ではなく、

  • 試作品の性能評価
  • 実証テストの結果
  • 社内・顧客での検証データ

といった客観的な裏付けがある計画は、審査上有利に働きます。

設備導入が新製品開発に直結している

公募要領では、「設備導入そのもののみで、新製品開発を伴わない事業は補助対象外」と明記されています。

採択事例では、

  • 設備導入が「新製品の実現に不可欠な手段」である
  • 設備がなければ実現できない技術・品質が明確

といった説明が一貫して行われています。

市場性(販売戦略)が曖昧でない

新製品の採択事例では、

  • 想定顧客
  • 市場規模
  • 販売価格・販売方法

が具体的に整理されています。

技術だけでなく、事業として成立するかが重視されている点は共通しています。

新規性・独自性を客観的に説明できている

「新しい」「独自」といった表現だけでは評価されません。

  • 既存製品との違い
  • 競合製品との比較
  • 優位性の根拠

を客観的に示している計画ほど、評価が高い傾向があります。

生産体制・品質管理が具体的

新製品を安定して供給できるかどうかも、重要な評価ポイントです。

  • 生産工程の整理
  • 品質管理方法
  • 不良率低減への取り組み

などが具体的に示されている事例が多く見られます。

付加価値額・収益モデルの根拠が明確

採択事例では、新製品投入による

  • 売上増加
  • 利益構造の改善
  • 付加価値額の算出根拠

が、数字で説明されています。

ここが曖昧な計画は、評価されにくい傾向があります。

まとめ:新製品の採択事例からわかる審査の着眼点

新製品の採択事例を見ると、評価されているポイントは非常に明確です。

  • 技術的な新規性と課題解決の論理性
  • 設備導入の妥当性(新製品開発との直結性)
  • 市場性・販売戦略の具体性
  • 定量的な効果と収益モデル

これらを事例と同じ視点で整理できているかが、採択可否を分ける大きな要因になります。

採択事例は、審査基準の考え方を具体的にイメージするための重要な参考情報といえます。

自社の新製品開発計画を見直す際の材料として、事例の共通点と照らし合わせて確認してみてください。

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この記事を書いた人

補助金申請支援を行う株式会社High Adoptionの補助金事業部統括マネージャー。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。

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