実務支援者が解説!2025年省力化投資補助金「卸売業」採択事例

省力化_一般型公募(2025年第1回)採択結果_卸売業

2025年の「省力化投資補助金」では、卸売業においても多くの企業が採択されており、倉庫業務や出荷業務の省力化を目的とした事例が増加しています。

この補助金は、業務効率化や人手不足の解消を支援する国の制度で、ピッキングや在庫管理の自動化なども対象とされています。

本記事では、2025年に採択された【卸売業】の最新事例をわかりやすく紹介。

どのような取り組みが採択されやすいのか、自社でも補助金を活用できそうかを判断するヒントもあわせてお届けします。

この記事を読めばわかること
  • 卸売業の省力化投資補助金2025年採択事例の具体的内容
  • 卸売業における省力化の定義と審査で重視される判断基準
  • 卸売業が採択されやすい企業の共通点と準備の方向性

本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。

目次

【2025年第1回】卸売業の省力化投資補助金の採択事例

省力化_一般型公募(2025年第1回)採択結果
※画像引用元:一般型公募(第1回) 採択結果について

卸売業は5.9%で、全体の中では3番目に高い割合でした。

事例①販売管理システムの構築で燃料卸売業界のDXへの挑戦

事業者名松林商事石油株式会社
所在地京都府宮津市
会社HPhttps://www.matsubayashi.kyoto/

主な事業内容・製品

  • 燃料油の全国配送(主に土木現場や宿泊施設向け)
  • ガソリンスタンド向け掛売カード発行
  • 車両・事務用品のリース業務
  • 環境配慮型燃料の提案・販売

事例②オリジナル生産管理システム導入による販売製造管理体制の省力化

事業者名加賀木材株式会社
所在地石川県金沢市
認証取得ISO9001:2015
会社HPhttps://kagamoku.com/

主な事業内容・製品

  • 不燃木材「もえんげん®」の開発・製造・販売(集成すぎ材、不燃認定取得)
  • 能登ヒバ・スギなど国産材を活用した集成材・フローリング材の製造・販売
  • 総合建材や住宅設備機器の企画・販売
  • プレカットパネル加工材および2×4工法パネルの製造

事例③RFID活用でライブ販売商品の貸出・返却業務を大幅に省力化

事業者名有限会社パールジュエリーいとう
所在地三重県伊勢市
会社HPhttp://www.pearl-j-ito.co.jp/

主な事業内容・製品

  • あこや真珠、白蝶真珠、黒蝶真珠、淡水真珠を使用した真珠ジュエリーの製造・加工・卸売
  • 自社ブランド(PATRA、Ash、Mommeシリーズ)の企画・展開
  • OEM・ODMによる真珠ジュエリー受託製造
  • 東京・大阪への営業拠点展開および全国への卸販売

事例⑤オーダーメイドシステム開発による鮮魚卸売事業の大幅な省力可

事業者名株式会社三栄水産
所在地神奈川県川崎市幸区
会社HPhttps://sanei-suisan.com/

主な事業内容・製品

  • 海老および貝類など水産物の仲卸販売
  • 天然および養殖海老の種類豊富な取り扱い(車海老、甘海老、伊勢海老など)
  • 活魚・冷凍品・鮮魚全般の仕入れと販売
  • 市場内店舗での一般客向け対面販売

事例⑥J-FOODボックスデリバリーシステムによる、物流 見積りプロセス改善

事業者名株式会社LCCトレーディング
所在地東京都千代田区
会社情報https://www.jetro.go.jp/ext_images/industry/foods/trading_company_list/data/S_266_3.pdf

主な事業内容・製品

  • 日本産ファーストムービング消費財(FMCG)の海外輸出支援
  • ローコストキャリア&商社プラットフォームの企画・構築・運営
  • 日本商品の調達と海外販売代行
  • 食品輸入調達のDX支援プロジェクト(例:シンガポールへの「Farm to Table」実証)

【2025年第2回】卸売業の省力化投資補助金の採択事例

採択結果が公表され次第、更新予定。

【2025年第3回】卸売業の省力化投資補助金の採択事例

採択結果が公表され次第、更新予定。

なぜこれらの事例は採択されたのか?卸売業で採択された理由と審査ポイントを簡単に解説

省力化_一般型公募(2025年第1回)採択結果_卸売業
※画像引用元:一般型公募(第1回) 採択結果について

卸売業における「省力化」投資の審査で見られるポイント

省力化投資補助金における「省力化」とは、単なる設備更新や拡張ではなく、「人手を介していた工程を機械化・自動化することで、労働時間や作業人数を削減する取り組み」として定義されています。
これはすなわち、「倉庫内作業の人手不足対応」や「物流工程の業務効率化」に明確に結びつく取組であることが求められるということです。
そのため、次のような投資は補助対象外となる点には注意が必要です。

倉庫の単なる拡張や棚の追加

保管能力を増やすだけでは省力化と見なされず、作業効率を向上させる設備導入が必要です

人手による作業の維持が前提の投資

ピッキング作業や検品を引き続き人手で行う前提のシステム投資は、省人化の要件を満たさず補助対象になりにくいです。

卸売業における省力化投資の具体的な評価ポイント

  • 省力化の効果を定量化する(例:入出荷作業時間の短縮、検品精度の向上)
  • 効果が大きく、在庫回転率や人件費削減で投資回収が早いほど採択されやすい
  • 省力化により削減された人手を営業サポートや需要予測分析など、業務の高度化に活用する計画が評価される

採択されやすい卸売業の共通傾向とは?

  • 大量の商品を扱い、業務の省人化効果が高い企業
  • 在庫・物流業務に課題があり、省力化による改善効果が大きい企業
  • サプライチェーン全体の最適化に取り組む姿勢がある企業

卸売業の採択事例をもとに、自社の補助金活用を検討しよう

卸売業は、入出荷業務や在庫管理、受発注などの工程に多くの人手を要する業種であり、業務の効率化・標準化による省力化の余地が大きい分野です。

2025年の採択事例では、RFIDや販売管理システムの導入、物流プロセスのDX化などにより、現場負荷の軽減や属人性の解消を実現した取組が評価されました。

申請においては、「どの業務を」「どのシステムで」「どれほど効率化できるのか」を数値で示すことが重要です。

人手不足への対応やミス削減、物流全体の最適化に向けて、補助金の活用を積極的にご検討ください。

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この記事を書いた人

補助金申請支援を専門とする会社にて勤務。
ものづくり補助金や事業再構築補助金において、交付申請・実績報告・事業化状況報告など、採択後の手続きを中心に多数の企業支援を担当。

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