製造業が省力化投資補助金の申請支援・サポートを依頼する際のポイントと注意点
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、製造業の生産ラインの省力化・システム化の推進を進めたいけれど、経費面で悩みを抱えているという企業に嬉しい制度です。
申請する際は事業計画の根拠、導入によって期待できる省力化施策を具体的にまとめるなど、採択につながる書類の作成が欠かせません。
書類作成は煩雑な部分が多いため、必要に応じて専門知識を持つ申請支援をしてくれる会社に相談するというのも良い手段です。
今回は、製造業を営む企業がスムーズに申請を進められるように、省力化投資補助金を申請する際に直面しやすい課題、サポートを依頼する際のポイントと注意点を解説いたします。
- 省力化投資補助金を申請する際に直面しやすい課題(製造業者視点)
- 製造業に強い申請サポートを選ぶポイント3つ
- 製造業が申請支援・サポートを依頼する際の注意点3つ
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
省力化投資補助金を申請する際に直面しやすい課題
省力化投資補助金をする際、悩まされがちな課題があります。
どのような部分に注意しながら検討していくべきか、業界特有の問題を知っておきましょう。
設備投資が必要な理由の検討
省力化投資補助金(一般型)は、従業員数が101名以上の企業の場合、補助上限額は最大で1億円(大幅な賃上げをする場合)に達するケースもあるなど、設備投資費用が高額になりがちです。
従業員数が5名以下であっても、採択されれば上限750万円の補助金を受け取れます。
大型の補助金だからこそ、申請の際にはなぜその設備・システムが必要なのかを記載した計画書の提出が必要です。
省力化投資補助金の「基本計画書作成の参考ガイド」には、以下の記載があります。
① 現在の経営環境や具体的な業務プロセスを十分に把握し、
② どの部分を設備投資で省力化できて(ボトルネックはどこか)、そのために必要な設備は何か、
③ その設備は、事業者固有の課題(物理的な機器や人の配置、手順等を踏まえたもの)に対応する、専用の設備か(標準的な複数の機器・システムを組み合わせる場合でも同様)。
④ 限られた人材を最大限活かすために、省力化で捻出できるリソースをどこに振り向けると業績向上そして賃上げに繋げられるか、
⑤ 現実的に実行可能か、実施体制やスケジュール、資金計画に無理はないか※引用元:事業計画書作成の参考ガイド
これらの内容がしっかり伝わる計画書を作成して、申請に進みましょう。
生産性指標(稼働率・歩留まりなど)の設定が難しい
補助金の基本要件として、労働生産性の年平均+4%以上の成長や、付加価値額の向上といった条件が設定されています。
製造業の場合、工場や機械の稼働率や歩留まりなどの指標を使った、基本要件の説明が必要です。
一方で、生産性の指標をいくつに設定すれば良いのか、なぜその成長が見込まれるのか、といった部分を証明する難易度が高い、という課題があります。
工程改善と人員削減効果をどう数値化するか
製造業の工程改善や人員削減効果を計画にまとめる場合、事業計画上の投資回収期間を根拠となる資料とともに提出する。
設備投資前と比較して、付加価値額が増加する事業計画を策定する、といった要件が定められています。
採択を目指すために、具体的な数値目標や導入後のシミュレーションの提示など、数値化の手法を検討しておく必要があります。
製造業に強い申請サポートを選ぶポイント
製造業者が省力化投資補助金採択を目指し、申請支援・サポート会社へ相談する場合、設備やシステム導入の根拠、質の高い申請書類の作成を支援してくれる業者選びが重要です。
製造業に強い申請サポート会社を選ぶ3つのポイントをあげてみました。
製造業向けの採択実績があるか
製造業向けの設備・システム導入に関連する省力化投資補助金の採択実績が多い業者は、申請書類の作成方法、含めるべき内容を熟知しているケースが多いと考えられます。
審査で評価される、根拠ある計画書を作成するために、製造業でどのくらいの実績があるのか、事前にたしかめておくと安心です。
工場設備・生産ラインの理解度
新しく機械装置やシステムを導入する際、現在の工場設備や生産ラインがどのような問題を抱えているのか、どのような改善方法があるのかなど、製造業にくわしい専門家とタッグを組むと、取り入れるべき省力化投資の例を提案してもらえます。
製造業の売上拡大や人員不足対策にくわしい業者への相談が、より省力化できるアイデアとの出会いにつながる可能性もあります。
交付申請・実績報告まで支援できるか
省力化投資補助金が採択された場合でも、要件が未達成などのケースで補助金の返還を求められる場合があります。
補助金を製造業の現場で最大限に活用するために、交付申請から実績報告まで伴走してくれる支援業者を選ぶと安心です。
会社・サービス名 | 内容 |
---|---|
シェアビジョン | 実績報告まで対応 |
補助金オフィス | 実績報告まで対応 |
株式会社High Adoption | 実績報告まで対応 |
中小企業省力化投資補助金申請代行サポート | 成功報酬型 |
製造業が申請支援・サポートを依頼する際の注意点
- 補助対象外となりやすい設備・経費に注意
- 大規模投資ゆえに発生する資金繰りリスク
- 補助金コンサルとの契約条件(報酬体系・成果範囲)
補助対象外となりやすい設備・経費に注意
製造業の分野で省力化投資補助金申請のサポートを依頼するなら、補助対象外になりやすい設備・経費について熟知している業者を選ぶと安心です。
一例ですが、機械装置・システム構築費を導入したい場合、「単体で導入する場合、汎用性が高い及び簡易的なカスタマイズで使用可能な製品は対象外」といったルールがあります。
※引用元:公募要領:3-2-2補助対象経費の詳細区分 中小企業省力化投資補助事業(一般型)
自社が検討している設備・システムが補助対象なのかどうか、申請支援・サポートにくわしい専門家に相談しておくと安心です。
大規模投資ゆえに発生する資金繰りリスク
省力化投資補助金は、最大1億円になる場合もある大規模投資です。
補助率は1/2〜2/3(超過分1/3)のため自己負担金が必要であり、前払金の準備も必要です。
高額設備の導入を検討している場合は、導入タイミングや資金計画の精密さが重要となります。
補助金コンサルとの契約条件(報酬体系・成果範囲)
補助金支援をコンサル会社などに依頼する場合、どこまでが支援に含まれるのか、補助金返還になった場合のサポートがあるかどうかなど、契約条件を事前にたしかめておきましょう。
相談する場合は、着手金や報酬体系、トータルでかかる金額など、約束される成果の範囲など、きめ細やかな打ち合わせ、提案をしてもらえる業者を比較・検討してみてください。

まとめ|製造業が省力化投資補助金を成功させるために
製造業の省力化投資補助金申請は、設備投資の金額が大きくなるケースが少なくありません。
申請をスムーズに進めるなら、製造業の省力化投資補助金の書類作成に強い申請支援サービス、サポート業者に相談するのも良い方法です。
どのような支援が受けられるのか、きちんと提示して貰える業者、過去の採択実績が豊富な業者を選んで、省力化投資補助金の採択を目指しましょう。