実務支援者が解説!2025年省力化投資補助金「建設業」採択事例
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2025年の「省力化投資補助金」は、建設業でも多数の企業が採択され、現場の省人化や作業効率の向上を目的とした取り組みが進んでいます。
この補助金は、国が中小企業の人手不足解消・生産性向上を支援する制度であり、建設現場に即したICT建機やクラウドツールなどの導入も対象です。
本記事では、2025年に採択された【建設業】の最新事例をわかりやすく紹介。
どのような取り組みが採択されやすいのか、自社でも補助金を活用できそうかを判断するヒントもあわせてお届けします。
- 建設業の省力化投資補助金2025年採択事例の具体的内容
- 建設業における省力化の定義と審査で重視される判断基準
- 建設業が採択されやすい企業の共通点と準備の方向性
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
【2025年第1回】建設業の省力化投資補助金の採択事例
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建設業は11.3%で、業種別では2番目に高い割合でした。
事例①オーダーメイドライン構築!鉄骨製造工程の自動化による省力化
事業者名 | 登尾鉄工株式会社 |
所在地 | 愛媛県新居浜市 |
会社HP | https://www.noborio.co.jp/ |
主な事業内容・製品
- 大型建築鉄骨の製作と現場での組み立てを一貫体制で実施
- ロボット溶接を含む高効率な溶接・組立技術による量産対応
- 免震構造や複雑形状鉄骨などの高難度構造物の製造
- 天井クレーン・ロボット溶接機・FA設備による設備充実と効率化
事例②新型測量関連機器の導入・連携運用で測量作業の省力化を図る
事業者名 | 建基コンサルタント株式会社 |
所在地 | 北海道札幌市 |
認証取得 | 札幌市ワーク・ライフ・バランス plus 認証 |
会社HP | http://www.kenki-c.co.jp/ |
主な事業内容・製品
- 公共測量および起工測量など各種公共測量サービスの提供
- UAV(ドローン)撮影や3Dレーザースキャナーを用いた3次元モデル作成
- 河川・道路など社会資本の設計・調査業務
- DX推進(ICT活用・デジタルデータによる高精度納品体制構築)
事例③ICT建機導入による省力化とリソース再配置での土木工事の改善
事業者名 | 株式会社ナカジマ |
所在地 | 北海道網走市 |
認証取得 | 経済産業大臣認定「事業継続力強化計画」(BCP) |
会社HP | https://www.nakajima-abashiri.com/ |
主な事業内容・製品
- 土木一式工事、河川工事、舗装工事などの建設工事全般
- とび・土工工事、鋼構造物工事、水道施設工事などインフラ施工
- 橋梁・トンネルなど構造物の施工
- 消波・護岸工事、下水道施設工事
事例④測地システムとICTグレーダーによる舗装工事のフルDX化
事業者名 | 陽昇建設株式会社 |
所在地 | 群馬県前橋市 |
会社HP | https://www.big-advance.site/s/132/1507 |
主な事業内容・製品
- 土木一式工事、舗装・河川・しゅんせつ工事
- とび・土工・鋼構造物・水道施設工事
- 橋梁・トンネルなどの構造物施工
- 消波・護岸工事および下水道工事
【2025年第2回】建設業の省力化投資補助金の採択事例
採択結果が公表され次第、更新予定。
【2025年第3回】建設業の省力化投資補助金の採択事例
採択結果が公表され次第、更新予定。
なぜこれらの事例は採択されたのか?建設業で採択された理由と審査ポイントを簡単に解説
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建設業で評価される「省力化」の具体的な定義と判断基準
省力化投資補助金における「省力化」とは、単なる設備更新や拡張ではなく、「人手を介していた工程を機械化・自動化することで、労働時間や作業人数を削減する取り組み」として定義されています。
これはすなわち、「熟練作業員の減少対応」や「現場作業の効率化」に明確に結びつく取組であることが求められるということです。
そのため、次のような投資は補助対象外となる点には注意が必要です。
建設現場の単なる人員追加や機材増設
作業員数を増やすだけ、重機を追加するだけでは「省力化」には該当しません。省人化や無人化の要素が必要です。
作業効率の向上を目的としない投資
たとえば、現場の美観向上や快適性向上のみを目的とした設備投資は、省力化の定義に当てはまらず補助対象外です。
建設業における省力化投資の具体的な評価ポイント
- 省力化の効果を定量化する(例:工程短縮率、作業人数の削減率)
- 効果が大きく、投資回収が早いほど採択されやすい
- 削減された人手を施工管理や安全管理など、より高度な現場マネジメント業務に充てる計画が求められる。ただ作業を効率化するだけでなく、リソースの再配置が鍵となる
採採択されやすい建設業の共通傾向とは?
- 複数現場を持ち、広域に省力化の波及効果が見込める企業
- DXやICTに積極的に取り組む体制が整っている企業
- 省力化とともに安全性・品質向上を同時に実現しようとする企業
建設業の採択事例を参考に、自社の申請を前向きに検討しよう
建設業は、現場の測量・施工・重機運用といった多くの工程で人手に依存しており、省人化・DX化の余地が大きい業種です。
2025年の採択事例では、ICT建機や測量機器の導入、作業工程のクラウド化などにより、明確な労働時間削減や人員再配置を実現した取組が高く評価されました。
補助金の申請では、「どの作業を」「どの機器やシステムで」「どのように効率化するのか」を具体的かつ定量的に説明することが重要です。
慢性的な人手不足や高齢化、工程の属人化といった現場課題を解決する手段として、省力化投資補助金の活用をぜひ前向きにご検討ください。