【補助金支援者が考える】製造業者が新事業進出補助を申請するコツとポイント

新事業進出補助金の申請を検討している製造業者の中には、「採択される可能性を少しでも高めたい」「どんな点に気をつければよいのか知りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

新事業進出補助金は始まったばかりで明確な傾向はまだ見えませんが、他の補助金申請の実務や業種特有の事例を踏まえると、押さえるべき基本ポイントや注意点が見えてきます。

本記事では、製造業が申請する際に意識すべきコツや注意点を整理し、採択率を高めるための実務的な視点を解説します。

この記事を読めばわかること
  • 製造業が申請で意識すべき基本ポイント
  • 他補助金の実務経験から見える申請のコツ
  • 申請全体で注意すべきリスクや対応策
  • 採択率を高めるためのまとめ視点

本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。

目次

製造業者が新事業進出補助金を申請する際に意識すべき基本ポイント

製造業者が補助金を申請する際には、自社の取り組みが「新事業進出」と認められるかどうかが最初の確認ポイントです。

既存設備の更新だけでは対象外となるため、新分野展開や異業種への挑戦といった視点を持つことが必要です。

「新事業進出の定義」に該当するかどうか

新事業進出」に該当するかの判断基準は、公募要領で示される「製品等の新規性」と「市場の新規性」です。

例えば、従来は自動車部品を製造していた企業が医療機器分野に進出するケースは高く評価されます。

一方で、既存製品の小規模な改良は、「新事業進出」とは言えず、対象外となるため「従来との違い」を明確に示すことが不可欠です。

補助対象経費と対象外経費(機械装置費など)を区分する

製造業では設備投資が中心になるため、補助対象経費の正しい区分が鍵となります。

工作機械や生産ラインへの投資は「機械装置・システム構築費」に計上できますが、日常的な維持管理費や既存の機会装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外です。

対象外経費を含めて申請すると不備の指摘を受けやすいため、事前に要件を精査し、経費を適切に整理しておくことが重要です。

他補助金の実務経験から見える申請のコツ【製造業編】

何度もお伝えしている通り、新事業進出補助金は「新事業であること」が条件なため、まずは事業計画が新規性を持つことを明確に説明する必要があります。

他の補助金申請では、売上増加や生産性向上の根拠を数値で示すことが重視されますが、本補助金ではそれ以前に「なぜ今その新事業に取り組むのか」という必然性の説明が重要です。

製造業は大型投資生産効率化に直結する事例が多い分、投資の背景や市場の変化をストーリーとして語れるかどうかが重要になるでしょう。

製造業者が新事業進出補助金を申請する際の注意点

製造業が新事業進出補助金を申請する際には、制度上の要件を満たすだけでなく、実務上の落とし穴を避けることが重要です。

特に注意すべきは「補助対象外経費の誤計上」「資金繰りリスクへの備え」「外部支援者との契約条件」の3点です。

これらは申請書作成や採択後の事業実施に直結するため、準備段階から意識しておく必要があります。

補助対象外となりやすい経費に注意する

製造業では多額の設備投資を伴うケースが多く、補助対象経費と対象外経費の切り分けが重要になります。

例えば「機械装置費」は対象経費として計上できますが、既存設備の修繕費や日常的な消耗品費用は対象外です。

また、公募要領には機械装置・システム等の製作を外注する場合は「機械装置・システム構築費」に計上すると明記されています。

誤って外注費として申請すると、不備指摘の原因になりかねません。

対象範囲を正しく理解し、経費区分を精査することが不可欠です。

※1 機械装置・システム等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上
してください。

※引用元:6.補助対象経 中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第2回)

大規模投資による資金繰りリスクを想定する

補助金は基本的に「後払い方式」であり、交付決定後も事業者が一旦立て替えたうえで精算されます。

製造業の新事業では数千万円規模の機械導入が必要になる場合もあり、資金繰りに大きな負担が生じます。

自己資金や金融機関からの借入枠を確保しておかないと、事業の途中で資金ショートを起こすリスクがあります。

採択を目指す段階から資金計画を立て、補助金が入るまでの資金繰りをシミュレーションしておくことが大切です。

事業計画書でも、「資金の調達方法」についての説明が求められます。

外部支援者との契約条件を事前に確認する

補助金申請を支援会社やコンサルタントに依頼する場合、契約条件をあいまいにしないことが重要です。

特に報酬形態(どのような形態か)業務範囲(申請書作成のみか、実績報告まで含むか)を明確にしておく必要があります。

成果報酬型は採択時の負担が大きくなる可能性があり、固定費型は採択されなかった場合でも費用が発生します。

自社の状況に合った契約形態を選ぶとともに、自社の状況に合った契約形態を選びましょう。

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まとめ|製造業が新事業進出補助金を成功させるために

新事業進出補助金の申請において、製造業者は「新事業進出に該当するかどうかの説明」「補助対象経費の正しい区分」「資金繰りや外部依頼に関するリスク管理」が重要なポイントとなります。

制度自体はまだ始まったばかりで事例も少ないため、誤解や不備が生じやすいのが実情ではないでしょうか。

だからこそ、準備段階から注意点を整理し、申請書に反映させることが採択への近道です。

自社で対応が難しい場合は、製造業の実績を持つ支援会社の力を借りることで、より確実に進めることができます。

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この記事を書いた人

補助金申請支援を行う株式会社High Adoptionの補助金事業部統括マネージャー。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。

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