新事業進出補助金 第2回は何が変わった?主な変更点と実務への影響を簡単解説
2025年9月12日に「新事業進出補助金 第2回」の公募要領が公開されました。
※初版発行:2025年9月12日(公募要領・改訂履歴より)
第1回からの大きな変更はなく、ほとんど同じ内容が踏襲されています。
とはいえ、申請スケジュールの見直し・補助対象経費の一部修正・審査項目の追加といった、申請準備に直結する細かな変更点も含まれています。
これらは運営側が何を重視しているかを示すものであり、実務担当者にとっても把握が欠かせません。
本記事では、第2回での主な変更点と背景にある意図を整理し、準備のポイントを解説します。
- 第2回で加えられた主な変更点
- 運営側が重視している審査視点
- 実務担当者が取るべき対応策
- 変更点が少ない中で注意すべき点
本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。
新事業進出補助金 第2回での主な変更点
第2回の公募要領は、第1回と比べて大きな修正はなく、制度全体の枠組みや趣旨に変更はほとんどありません。
むしろ「ほとんど変更がない」こと自体が特徴といえます。
ただし、申請スケジュールの調整や審査項目の追加など、実務に関わる細部には修正が加えられました。
これらは申請者にとって準備の段取りや計画立案に直結するため、注意して把握する必要があります。
申請のスケジュール感と公募期間の長さ
項目 | 第1回 | 第2回 |
---|---|---|
公募開始 | 令和7年4月22日(火) | 令和7年9月12日(金) |
申請受付 | 令和7年6月17日(火) | 令和7年11月10日(月) |
応募締切 | 令和7年7月15日(火)18:00 | 令和7年12月19日(金)18:00 |
補助金交付候補者の採択発表 | 令和7年10月頃(予定) | 令和8年3月頃(予定) |
公募開始から申請受付までの期間はほどんど変わりはありません。
申請受付から応募締切に関し、若干長くなっています。
審査項目の変更
審査項目にはわずかながら追加がありました。
新たに「③事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か。」という観点が示されています。
この文言は非常に強い表現であり、経費の必然性を厳しく審査する意図があると考えられます。
これまで以上に、経費の根拠や必要性を論理的に説明することが求められます。
③ 事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か。
変更点から読み取れる運営側の意図
全体として変更は少ないため、制度設計そのものを大きく見直す意図は感じられません。
しかし、わずかな修正点から運営側の姿勢を読み解くことは可能です。
特に、経費の妥当性や中小企業への配慮、そして政策目的との連動といった視点が浮かび上がります。
経費の妥当性・必然性をより重視
さきほども書きましたが、今回追加された「③事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か。」という表現は、運営側が経費を精査する姿勢を強めたことを意味します。
「真に必要」という表現は法令でも狭義に解釈される強い言葉であり、今後は単なる便宜的な経費や過大な投資は認められにくくなるでしょう。
(4)事業の実現可能性 | 2回 | 1回 |
---|---|---|
① | 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。 | 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。 |
② | 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。 | 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。 |
③ | 事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か | 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか |
④ | 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか | – |
中小企業の負担軽減を図る狙い
変更点がほとんどない中で、唯一強い意図を感じるのは前述の経費部分ですが、一方でスケジュール調整などは中小企業への配慮とも考えられます。
必要以上の制度改変を避け、事業者が第1回での経験を生かして申請できるようにした点は、負担軽減を意識したものといえます。
政策目的(賃上げ・人手不足対策)への誘導
加点要素に関する部分では、賃上げや人材確保といった国の政策目標を意識した流れが継続しています。
これは第1回からの傾向と同様であり、今回も制度を通じて労働市場の改善や中小企業の競争力強化を促そうとしていることがうかがえます。
実務担当者が押さえておくべき対応ポイント
変更点自体は少ないものの、申請者が取るべき実務対応は明確です。
限られた公募期間の中で、計画の完成度を高め、審査項目に沿った事業計画を準備することが採択率を高めるカギとなります。
スケジュール短縮を踏まえた準備の前倒し
スケジュールが短縮されたことで、これまで以上に早期の着手が求められます。
特に社内調整や外部コンサルタントとの連携は、直前対応では間に合いません。
第2回の公募に合わせた逆算スケジュールを組み、余裕を持って進めることが重要です。
補助対象経費の明確化と経費区分の精査
審査の重点が「真に必要な経費」へ移ったことを踏まえ、計上する経費は正確かつ根拠を示せるものに絞り込みましょう。
機械装置・システム構築費、外注費などの区分についても、誤りがないように精査する必要があります。
加点要素を意識した事業計画の作成
政策目的に沿った要素(賃上げ、人材投資、地域課題への対応など)は引き続き重視されます。
単なる投資計画にとどまらず、社会的意義や波及効果を盛り込むことで、審査で評価されやすくなります。
まとめ|第2回の変更点を理解して準備を進めよう
新事業進出補助金 第2回の公募要領は、第1回とほとんど同じ内容であり、制度全体に大きな変更はありません。
ただし、経費の妥当性を厳しく審査する姿勢やスケジュール感といった細部の修正には注意が必要です。
実務担当者は、限られた時間の中で前倒しの準備を行い、経費の根拠や政策目的を反映させた計画を整えることが重要です。
今回に限らず、小さな変更点を正しく理解し対応することで、採択の可能性を高められるでしょう。