省力化投資補助金は2026年以降も継続されるのか?【制度の終了時期・今後の見通し】

中小企業の省力化・自動化投資を後押しするために、2025年からスタートした省力化投資補助金制度。
2025年度は年3~4回の公募予定が発表されていて、2025年8月現在すでに3回の公募が実施されています。
「来年こそは申請したい」「前回は採択されなかったけれど再チャレンジしたい!」「以前とは別の事業内容で申し込みたい!」という方のために、2026年以降の見通しを解説いたします。
- 省力化投資補助金の2026年以降の継続について
- 省力化投資補助金が継続される4つの理由
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
省力化投資補助金はいつまで続く?【2026年以降の継続とその根拠】
省力化投資補助金が2026年以降も続くのかどうか。
おそらく当面は続くと考えられます。
公表されている資料を見ると、「2029年」「2034年」という数字が大きく関係してきそうです。
継続については、経済産業省が公表している「省力化投資促進プラン―中小製造業―」などで触れられています。
資料では、「製造業の労働生産性を2029年度までに24%向上することを目指す」という目標を達成するために、目標達成に向けたスケジュールが公開されていて、2025年から2029年度を省力化投資集中期間に定めています。
業種別に2029年度までの目標、KPIが公表済み(各担当官公庁資料より)
他業種に関しても、業種別の「省力化投資促進プラン」にて2029年度までの目標、KPI、スケジュールの記載があります。
業種 | 内容 |
---|---|
中小製造業 | 製造業の労働生産性を2029年度までに24%向上することを目指す |
食品製造業 | 製造業の労働生産性を2029年度までに24%向上することを目指す |
建設業 | 2029年度までに建設業における年間実労働時間を全産業平均並みにするKPIを達成し、実質労働生産性目標については2024年度比9%増を目指す |
小売業 | 2029年度の名目労働生産性目標は2024年度比で28%増とする。 |
運輸業(自動車) | 物流事業や旅客運送業における労働生産性の向上(物流事業:25%、旅客運送業:26%)を目標とし、 |
2027.2028年度以降の見通し(2034年度まで)

投資補助・金融支援についても、IT導入補助金の製造業採択件数の採択件数(7,500件/年度)という目標にたいして、2026年度以降も「継続的な投資支援」を実施する、とスケジュールに記載されています。
省力化投資促進に関連するサポート体制については、省力化投資集中期間が終わった後も2034年まで継続する予定になっています。
これらのスケジュールから、先ほどご紹介した各業種の目標を達成するまでは、省力化投資補助金制度が継続される可能性が高いと考えられます。
省力化投資補助金が継続される理由|政策的な背景から見る支援の狙い
人手不足対策としての国の支援強化
経産省の「省力化投資促進プラン」では、人手不足の深刻化を背景に、省力化設備導入支援を継続的に行う方針が明記されています。
2029年までは省力化投資の集中期間であること、制度の目標として製造業の労働生産性を2029年度までに24%向上させる、というゴールが定められていることから、目標達成に向けて2026年以降も投資支援が続くと予想されます。
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画
省力化投資は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の一環として策定されたプランです。
この資料では、人手不足が取り分け深刻と考えられる12業種については、業種ごとに生産性向上の目標を掲げ、2029 年度までの5年間で集中的な省力化投資・生産性向上を実現するための「省力化投資促進プラン」を強力に実行する、という記載があります。
この内容から、省力化投資が2025年だけで終わるとは考えづらく、2029年までは継続される可能性が高いと思われます。
- 飲食業
- 宿泊業
- 小売業
- 生活関連サービス業(理容業、美容業、クリーニング業、冠婚葬祭業)
- その他サービス業(自動車整備業、ビルメンテナンス業)
- 製造業
- 運輸業
- 建設業
- 医療
- 介護・福祉
- 保育
- 農林水産業
※参照元:(1)業種別の「省力化投資促進プラン」 の実行(新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版)
3,000億円超の大型予算が継続の根拠に
中小企業庁の資料によると、省力化投資を目的とした補助金事業として、3000億円の補助金活用が予定されています。
現在の申請状況から、2025年度だけで3,000億円を使い切るのは難しいため、2026年以降の予算を使い省力化投資補助金制度が続くと考えられます。
中小企業省力化投資補助事業
3,000億円 (中小企業等事業再構築促進基金を活用 令和6年に再編)
中小企業庁 経営支援部 イノベーションチーム
※参照元:shoryokuka.pdf
その他補助金の延長事例
「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」など、当初は期間限定で実施された補助金が、延長を重ね10年以上続いている事例があります。
省力化投資補助金は、2029年までが省力化投資集中期間、投資補助・金融支援については2034年まで継続的な投資支援と記されています。
予算によって規模が縮小する可能性はありますが、長く続いていくと考えてもよいでしょう。
補助金は回を重ねるごとに審査が厳しくなる傾向があるため、早めの申請がおすすめ
省力化投資補助金は、2029年までは継続して制度が続くと予測されますが、補助金は回を重ねるごとに審査が厳しくなる傾向があります。
省力化投資補助金は、年間の採択件数や補助金の上限があります。
制度の認知度が上がり、省力化を検討する企業が今後増えていく場合、申請件数が増え、採択数が下がると考えられます。
申請した省力化投資補助金が採択されず再チャレンジする企業、一度採択されたけれど、別の分野で再度採択を希望する企業など、応募数が増えるケースも。
これらの傾向を考えると、審査に通る可能性が高い早期申請がおすすめです。
省力化投資補助金を上手に活用して、人手不足解消、売上拡大、生産性向上、従業員の賃上げといった未来を目指しましょう。