【各業種の傾向を分析】2025年第1回 採択率68.5%!省力化投資補助金一般型公募|建設業・製造業が約7割を占める
省力化投資補助金一般型公募に申請したいと考えていても、「採択されるか不安」「採択率はどのくらい?」と感じている担当者は少なくありません。
最新の採択率はどうなっているのか、は多くの企業が事前に知っておきたい情報のひとつです。
第1回(2025年)の採択率は、約68.5%とおよそ3社に2社が採択されています。
そのうち、建設業・製造業が約7割を占める結果に。
本記事では、省力化投資補助金一般型公募(第1回)の最新採択率データなどから、業種別の傾向を整理し、わかりやすく解説します。
- 省力化投資補助金(一般型)第1回の採択率は68.5%と高水準
- 採択企業の約7割が製造業・建設業で、省力化設備との親和性が高い
- 初回は採択率が高くなる傾向があり、今後は応募増で低下の可能性も
- 採択率だけにとらわれず、自社課題に即した実現性のある計画が採択の鍵
本記事を監修する専門家

多田 舞樹
東京大学 教養学部卒業。
PwC Advisory合同会社を経て、2018年に補助金コンサルティングや事業承継支援を手がける株式会社HighAdoptionを設立。これまでに500件を超える補助金の採択実績を持つ。
省力化投資補助金の採択率【2025年版】最新データと過去の推移
採択率 | 採択件数 | 申請件数 | |
---|---|---|---|
1回 | 68.5% | 1,240件 | 1,809件 |
2回 | |||
3回 |
省力化投資補助金一般型公募(第1回)の採択率は、申請1,809件に対し採択1,240件となり、68.5%という高い数値でした。
近年の高額補助金が20~30%台の採択率が多い中、これはかなり注目すべき結果です。
ただし、第1回は公募締切が比較的ゆるやかであったため募集数が少なく、今後は応募増で採択率が下降する可能性があります。
採択率の推移から読み取る、省力化投資補助金の現状
初回は制度の認知向上と審査の余地もあり採択率が高めに出やすい傾向にあります。
過去の補助金(小規模事業者持続化補助金など)でも公募初回は90%前後、後期になって30~40%台に落ちる動きが見られました。
小規模事業者持続化補助金 | 採択率 | 応募件数 | 採択件数 |
---|---|---|---|
第1回(2020年) | 約90.9% | 8,044件 | 7,308件 |
第15回(2024年) | 約41.8% | 13,336件 | 5,580件 |
第16回(2024年) | 約37.2% | 7,371件 | 2,741件 |
第17回(2024年) | 採択発表:2025年9月頃 | ||
第18回(2025年) | 締切:2025/11/28(予定) |
※参照元:「小規模事業者持続化補助金(第15回締切分)」の補助事業者が採択されました、「小規模事業者持続化補助金(第16回締切分)」の補助事業者が採択されました、【過去の採択結果一覧と推移】補助金ポータル
今後、応募増や審査基準強化で「採択率:50~60%台」が中長期的な標準値になる可能性が予想されます。
【2025年】業種別に見る採択割合
1回 | 2回 | 3回 | |
---|---|---|---|
製造業 | 61.7% | ||
建築業 | 11.3% | ||
卸売業 | 5.9% | ||
学術研究、専門・技術サービス業 | 2.7% | ||
小売業 | 2.3% | ||
情報通信業 | 1.6% | ||
運輸業、郵便業 | 0.9% |
第1回の採択企業・件数の内訳では、製造業61.7%、建設業11.3%、それに続きサービス業・小売業などが続いています。
「製造」「建設」は省力化投資の対象として法的要件や効果が明確なため、審査でも高評価を受けやすい傾向があります。
業種ごとの採択割合と傾向
製造業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 61.7% | 約765件 |
2回 | ||
3回 |
製造業の第1回採択件数は、全体の約62%を占め、他業種を大きく上回っています。
これは、生産ラインの自動化や機械導入といった省力化の手段が分かりやすく、補助金の趣旨に合致しやすいためと考えられます。
募集要項でも「生産性向上」や「定量的効果」が求められており、製造業が申請しやすい制度設計になっています。
もちろん、申請件数自体が多かった可能性もあり、採択件数の多さ=採択率の高さとは言い切れませんが、親和性の高い業種であることは間違いありません。
建設業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 11.3% | 約140件 |
2回 | ||
3回 |
建設業の第1回採択件数は、全体の約11%を占めており、比較的多い部類に入ります。
現場の人手不足や安全管理の課題に対して、ICT建機や施工管理システムなどの省力化設備が導入しやすく、補助金との相性も良いといえます。
ただし、現場の規模や業態により導入内容が多様であるため、製造業ほど一律には進まない傾向も見られます
一定の条件を満たせば申請しやすい業種ではありますが、個別性の高い事例が多いと推察されます。
卸売業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 5.9% | 約73件 |
2回 | ||
3回 |
卸売業の第1回採択件数は、全体の約6%を占めています。
倉庫の自動化や受発注システムの導入など、省力化の対象となる業務は存在しますが、事業内容によって効果が見えづらいケースもあるため、申請は限定的になった可能性があります。
また、規模や扱う商品によって導入できる設備の内容が大きく異なるため、補助金との適合度にばらつきがある業種といえるでしょう。
一定のニーズはあるものの、活用の幅はやや狭い印象です。
学術研究、専門・技術サービス業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 2.7% | 約33件 |
2回 | ||
3回 |
学術研究、専門・技術サービス業の第1回採択件数は全体の約3%と、採択件数が少ない傾向にあります。
知的労働が中心で、補助対象となる設備投資が見えにくい業務が多いため、省力化との結びつきが難しかったと考えられます。
そもそも企業数自体が少ないことも、採択件数の低さに影響していると考えられます。
ただし、測定機器や業務支援ツールなどを活用する場面もあり、設備投資が明確な場合には申請が可能です。
対象となる企業は限定的ですが、補助金を活用できる余地は十分にある業種ともいえます。
なお、「学術研究、専門・技術サービス業」には、以下のような業種が含まれます。
- 大学や公的研究機関(学術的な研究や試験、開発などを行う事業所)
- 法律・会計・税務(弁護士事務所、特許事務所、司法書士・行政書士事務所、税理士事務所など)
- 経営コンサルティング(中小企業向けの経営支援・事業改善コンサルなど)
- 技術系・IT系コンサルティング会社
- 文芸・芸術作品の創作
- 建築設計、土木設計、地質調査、商品検査、計量証明、写真制作 など
※省力化投資補助金は、株式会社や個人事業主などの「民間企業」が対象です。大学や自治体、公的研究機関は原則として申請できません。
小売業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 2.3% | 約29件 |
2回 | ||
3回 |
小売業の第1回採択件数は、全体の約2%と少なめです。
人手不足への対応として、省力化のニーズ自体は高い業種ですが、補助対象となる設備(POSレジや自動精算機など)が限られていること、また設備投資に慎重な小規模事業者が多いことが要因と考えられます。
導入事例が少ないからといって、活用の余地がないわけではありません。
業種の特性に合った支援内容が整えば、今後申請が増える可能性もあります。
情報通信業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 1.6% | 約20件 |
2回 | ||
3回 |
情報通信業の第1回採択件数は約1.6%と、かなり低い水準にとどまっています。
これは、同補助金の主な対象が「省力化に直結する設備投資」であるという印象が強く、情報通信業では設備導入による省力化のイメージが湧きにくかったことが一因と考えられます。
ただし、既存業務の効率化・省人化を目的としたシステム開発や業務支援ツールの導入は補助対象となり得ます。
たとえば、顧客対応の自動化、プロジェクト管理ツールの導入、請求・勤怠処理の自動化など、社内業務の明確な省力化を伴う投資であれば、申請・採択される可能性は十分にあります。
今後は、制度への理解を深め、自社の業務改善と結びつけた申請ができるかどうかが、情報通信業における採択のカギとなりそうです。
運輸業、郵便業
採択割合 | 採択件数 | |
---|---|---|
1回 | 0.9% | 約11件 |
2回 | ||
3回 |
運送業の第1回採択件数は約0.9%と、非常に少ない結果となりました。
車両やドライバーに依存する業務が中心で、省力化=省力化設備の導入に結び付きにくい業種であるためです。
ただし、動態管理システムや自動配車ツールなどの間接業務には省力化の余地があり、補助金の使い方次第では十分な効果を見込めます。
申請件数そのものが少なかった可能性もあり、制度に対する理解や周知が今後の鍵になると考えられます。
採択率は目安に過ぎない。事業計画と整合性のある申請を
本記事では、省力化投資補助金一般型公募の採択率を紹介しました。
業種ごとに採択件数の割合も大きく異なります。
ただし、採択率や業種別の採択件数の割合は、あくまでも全体傾向にすぎません。
その数字にとらわれすぎず、自社の課題解決と経営戦略に即した、実現性と成果の見える申請書が最も重要です。
手順とポイントを押さえ、早めに申請体制を整えて準備に取り組むことで、貴社の採択チャンスを大きく高めることができるでしょう。