新事業進出補助金は2026年も続く?公募回数や政策背景から継続予定を解説

2025年(令和7年)に第1回公募が始まった新制度です。

公募は複数回予定されていますが、気になるのは2026年以降も継続されるのかという点です。

本記事では、公式資料や関連補助金の事例をもとに、「継続見込み」「政策背景」「申請の備え」について解説します。

この記事を読めばわかること
  • 新事業進出補助金が2026年度以降も継続予定である根拠
  • 「令和8年度末までに4回程度・採択6,000件」の公式資料の内容
  • 制度の政策的背景と中小企業支援の狙い
  • 他補助金(ものづくり・省力化投資補助金)との比較から見る継続可能性
  • 早めに申請準備を進めるべき理由と採択率の傾向

本記事を監修する専門家

池上 翔大
補助金申請支援を行う会社で補助金事業部統括マネージャーを勤める。
年間100件以上の事業者に対し、補助金の採択へ導いている。

目次

新事業進出補助金はいつまで続く?【2026年以降の継続とその根拠】

新事業進出補助金は、令和8年度末まで複数回の公募が計画されており、単年度で終了する設計にはなっていません。

中小企業庁・中小機構が公開している資料には、令和8年度末までに公募回数は4回程度、採択予定件数は6,000件程度と明記されています。

これにより2026年度以降も継続されることが示されており、来年度の応募を検討する企業にとってもチャンスがあるといえます。

「令和8年度末までに公募回数は4回程度、採択予定件数は計6,000件程度とし、中小企業等に対して補助金を交付する事務等を行うものとします。」

※参照元:「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領

経産省・中小企業庁の発表情報

公式資料に明記された「4回程度の公募」「6,000件程度の採択」は、補助金が複数年度をまたいで実施される計画であることを意味しています。

単年度限りで終わるものではなく、少なくとも2026年度までは継続することが制度設計上示されています。

引用:「令和8年度末までに、公募は4回程度行われ、採択予定件数は計6,000件程度とする。」

※参照元:中小企業新事業進出補助金 公募要領(中小企業庁/中小機構)

制度の背景と今後の方向性

本補助金は、中小企業等が既存事業とは異なる分野へ挑戦し、新市場や高付加価値事業への進出を支援することを目的としています。

これにより、企業規模の拡大や付加価値の向上を通じて生産性を高め、最終的には賃上げにつなげていくことが狙いとされています。

中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。

※参照元:中小企業新事業進出補助金 公募要領(中小企業庁/中小機構)

他の補助金制度との比較から見る継続可能性

新事業進出補助金の将来像を考えるうえで、他の補助金制度の継続事例は参考になります。

たとえば「ものづくり補助金」は2013年にはじまり、現在も公募が続いています。

さらに「省力化投資補助金」も、2029年度までを集中投資期間とする明確なロードマップが公表されています。

これらの事例からも、新事業進出補助金が数年で打ち切られる可能性は低いと考えられます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、2013年にはじまり、現在も続いております(第21次公募)。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下「ものづくり補助金」という。)は、中小企業等が行う、生産性向上に資する革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資等の取組を支援するものです。

※引用元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第21回公募を開始します

省力化投資補助金

省力化投資補助金は、経産省が策定した「省力化投資促進プラン」に基づいて2024年度に開始されました。

資料には、2025年度から2029年度までを集中投資期間とすることが明示されています。

取り分け生産性向上の必要が大きい「最低賃金引上げの影響を大きく受ける業種」や「人手不足が深刻な業種」8について、業種別の「省力化投資促進プラン」を新たに策定した。

この中で、業種ごとの生産性向上の目標を設定するとともに、2029年度までの5年間を集中取組期間として、業種の特徴を踏まえたきめ細かな対応や支援策の充実、全国的なサポート体制の整備に取り組む。

※参照元:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版(内閣府)

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新規事業進出補助金が継続される理由|政策的な背景から見る支援の狙い

本補助金が複数年度にわたり継続される背景には、単なる予算措置だけでなく政策的課題への対応があります。

人口減少や人手不足といった構造的課題は短期で解決できないため、国としても中小企業の新市場開拓を中期的に後押しする方針を示しています。

中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。

※引用元:1.事業の目的 中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第1回)

人口減少・人手不足を背景とした新市場開拓の必要性

日本の中小企業は国内市場の縮小や人材不足という課題に直面しています。

新事業進出補助金は、既存事業だけでは成長が難しい企業に対し、新市場・新分野への挑戦を促すことで、持続的な成長を実現する狙いがあるでしょう。

我が国の構造的な人手不足の進展により、企業における人員確保は年々厳しくなることが予想される。

※引用元:地域における人手不足問題(中小企業におけるイノベーションの基盤としての人手・人材不足対応、働き方・職場環境の整備について)

地域経済の活性化と地方創生への貢献

都市部に比べて事業機会が限られる地方では、新事業への投資が停滞しがちです。

新事業進出補助金は、中小企業による新市場・高付加価値事業への進出を支援し、生産性向上と賃上げにつなげることを目的としています。

海外展開・輸出促進を通じた競争力強化

国内需要だけでは成長に限界がある中で、海外市場への進出や輸出強化は中小企業にとって重要な課題です。

本補助金は、設備投資や販路開拓を支援することで、国際競争力を持つ企業を育成する目的も担っています。

まとめ|補助金は回を重ねるごとに審査が厳しくなる傾向があるため、早めの申請がおすすめ

公的資料に明記された「令和8年度末までに4回程度の公募、採択6,000件予定」という計画から、新事業進出補助金は2026年度も継続されることが示されています。

ただし、応募件数が増え審査が厳格化していく傾向があるため、早めの準備と申請が採択成功のカギとなります。

なお、審査では、新市場性(社会での普及度・認知度が低い分野か)と高付加価値性(相場を上回る付加価値や価格を提示できるか)といった観点が評価されます。

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